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2023年栃木県朝日フォトグランプリ 最終結果

 2023年栃木県朝日フォトグランプリに多数ご応募頂きましてありがとうございます。2023/8/20(日)、栃木県文化センター第4ギャラリーB・Cにて写真家・古市智之先生による最終の公開審査が行われ、グランプリ以下各賞の結果が決まりました。

 応募総数、一般865点(自由部門455点、自然部門410点)18歳以下部門18点 合計883点の中から2023年栃木県朝日フォトグランプリに輝いたのは 大橋三千代様「屋台列車」でした。

古内先生が最後まで悩まれて決定した瞬間、ハラハラドキドキで審査を見学していた多数の観客からは拍手が起こりました。 グランプリおめでとうございます!

 表彰式は8月27日午後1時から栃木県文化センター3階第一会議室にて行われます。

古市智之先生の総評と準特選までの作品をアップいたします。

受賞者の皆様、おめでとうございました。

総評  古市智之先生

 昨年に続き、2年連続で審査を担当させていただくことになりました。そのせいでしょうか、昨年と今年の応募作品の傾向の違いが手に取るようにわかり、フォトコンテストの面白さ、難しさを改めて感じました。特に自由作品の部は、コロナが2類から5類に引き下げられたおかげか昨年よりも大混戦。見応えのある作品が多く集まり、優劣をつけるのが忍びなかったほどです。ネイチャーの部は昨年同様高水準。美しいだけの自然風景を求めるのではなく、自身が自然とどう関わり、どう表現するのか、明確な意志を持った作品が多く寄せられました。18歳以下の部はとにかくフォトコンテストにもっとチャレンジして欲しいですね。全ての部に共通して言えることは、自分の視点を持つことが肝要ということ。例として、祭りを被写体にするのであれば、祭り「を」撮るのではなく、祭り「で」撮る。という意識を大事にしてください。

グランプリ  大橋三千代「屋台列車」

 明るい時間帯のお花見風景とは一味違えたことが良いですね。薄暮れ時に撮影したことで花明りがほのかに浮かび上がり、雪洞の小さな光が優しく桜を愛でる人々の気持ちを表しているようです。桜の下に並ぶ屋台からは、我々庶民が春を愉しむ様子も伝わってきます。古き良き日本の風習が美しく、また繊細に捉えられているように感じました。

栃木県知事賞  小川 等「火垂るの輝跡」

 お盆の仏花として定番のタチアオイと、ホタルの軌跡を組み合わせた発想が秀逸です。これによってホタルの光が子孫の家に向かうご先祖様の魂かのような印象を受けました。軌跡の数も、もっと増やそうと思えばやれたはずだと思いますが、ある程度で抑えたからこそ、静かにお盆を迎えるという日本人の精神性が作品に刻まれているようです。

18歳以下部門最優秀賞  しおの Ýu「えがお」

 水たまりを笑顔に見立てた発想が良いですね。画面の上部から差し込む光の筋が髪の毛のようにも見えて笑顔を構成する要素として効果的です。余分なものは一切入れず、自分の着眼点を信じたことが成功へのカギとなりました。

ネイチャー部門

金賞 島村克己 「戸惑う季節」

 逆光気味に桜の輪郭を浮かび上がらせた構図、背景の黒い部分に雪を写し止めたシャッタースピード、降雪の激しさを想像させるよう、竹林の曲がり具合までしっかり描写した被写界深度の選択、どれをとっても文句なし。数年に一度、このような「桜隠し」が見られますが、的確な設定の選択だったからこそ自然界の奥深さが伝わってきます。

自由部門

金賞 楯石ます子 「ヒヤリハット」

 ちょっとしたハプニングを見逃さなかったカメラ・アイが光ります。帽子を飛ばされてしまったダンサーの顔は写っていませんが、周りの人物までしっかりと写し込んだことからポーズの違いが鮮明になり、ハッとした様子が手の表情から伝わってきます。選考基準には含んでいませんが、そこを捉えたのであろうタイトルも秀逸です。

ネイチャー部門

朝日新聞社賞 須﨑秋雄 「目覚めの刻」

 背景の杉林には朝日が差しているものの、主役たる梅は未だ微睡みの中。そんな朝の情景を捉えた構図も秀逸ですが、特にボケ加減が素晴らしい。これ以上絞りすぎると梅の存在感が薄まって雑然としてしまうでしょう。逆にボカし過ぎると状況が伝えきれず、キリッと冷えた早朝の空気感が半減してしまいます。この見極めがお見事でした。

自由部門

朝日新聞社賞 伊藤辰明 「廃車の春」

 野ざらしにされた廃車から、人間のエゴと打ち捨てられた道具の悲しみが伝わってきます。この廃車が自然に還るのはあと何百年かかるでしょうか。その刻の重さを描いたような暗めのプリントも文句なし。朽ちゆく姿を慰めるかような紅白の梅を浮かび上がらせる効果と相まって、分け隔てない自然界の優しい眼差しが印象的になりました。

ネイチャー部門

全日本写真連盟賞 秋本悦男 「水中桜」 

状況から鑑みて、折れた枝が池に落ちたのだと推察できます。そう考えると、この桜は来年以降花をつける事はないでしょう。その寂しさ、侘しさが派手さを抑えた色調から伝わってきます。加えて水面に波紋が一切ないことから、より一層の静寂を感じさせます。一隅を照らすような作者の視点と、内容に合致した色再現が巧みでした。

自由部門

全日本写真連盟賞 高山尚子「ベテランカメラマン」

スッと背筋を伸ばしたポーズはさながらベテラン写真家のようですが、その姿に反して「鼻でシャッター押すんかい」といったツッコミどころもあって微笑ましいです。おそらくキャットフードか何かを置いて演出されたのだと思うのですが、それが見事にハマりましたね。このような写真の楽しみ方がもっとあっても良いと思います。

ネイチャー部門

銀賞 永井敬子 「月明かりの散策」

 とても静寂感のある風景ですが、私が気になったのはこの足跡はどこから来てどこへ行ったのだろうという不可思議さと、まるで一本足で歩いたような形。まさか未知の生物の足跡なのではないかと想像してしまう楽しさがありました。

自由部門

銀賞 永島勝次 「束の間の休息」

 長距離バスのドライバーさんが食事をしているとクレームが来るという理不尽なニュースを耳にしたからでしょうか、一見すると非日常的な面白さとは裏腹に、現代社会の病理を抉り出しているようにも感じました。この視点が良いですね。

ネイチャー部門

銅賞 青野康廣 「花絨毯に夏銀河昇る」

 宇宙の深い藍色と、芝桜でしょうか、地上のピンクの花の色彩のコントラストが絶妙で、立ち上がる銀河もことさら輝いて見えます。青野さんは昨年に続き、天の川の作品で銅賞となりました。この路線をとことん極めて見るのも一興ですね。

自由部門

銅賞 小平良長 「団地の目覚め」

 何の変哲もない日常の情景ですが、光と影に着目して作品化した手腕はお見事です。誰もが見ているはずの情景、それをどのように写真にするのかはまさに撮影者の腕次第。そのことを改めて目の前に提示してくれた作品でした。

ネイチャー部門

県本部長賞 北向 誠 「馬屋の柿」

 たわわに実った柿の木と、ねぐらへと帰っていく鳥の群れに晩秋の季節感を感じます。柿の実が多く残っている山里の情景は時代の移り変わりを表しているようです。さらに古びた厩舎もその印象を補強する材料となっていて効果的です。

自由部門

県本部長賞  石川武男 「街角」

 よくもまあこんなところを見つけたものだと感心しました。この着眼点もさることながら、フレーミングの妙味がこの作品の核心。画面左のビルの数字がスカイツリーとの寓意的な結びつきを表しているようで効果的です。

ネイチャー部門

県本部委員長賞 阿部 茂 「竹の春」

 竹林の緑と紅葉の赤からなる反対色を補完する画面構成はもちろん、そこに一陣の風が吹き、周りの木々が葉を散らした瞬間を見逃さなかった感性が素晴らしいですね。微妙にブレながら舞う葉っぱの動きも、この空間を引き締めています。

自由部門

県本部委員長賞 山本長衛 「ボクトルヨ」

 写真は実際に目の前にあるものしか写せませんが、この作品にはキレイに着飾ったお姉ちゃんを撮ってあげたいという少年の優しい気持ちが写っています。きっとこの子が撮った写真は、家族にとって最高の一枚になったことでしょう。

ネイチャー部門

特選 小島一雄 「氷湖のキャンパス」

特選 棚井行夫 「のどかな時」

特選 吉井孝男 「命育む」

特選 新井辰男 「目覚める街」

特選 中島善一郎 「共演」

自由部門

特選 渡部久恵 「帰ろうよ」

特選 松谷洋美 「神様のイタズラ」

特選 小池一巳 「木陰」

特選 戸澤一浩 「入園の日」

特選 豊田寿久 「夜明けのExpress」

ネイチャー部門

準特選 大塚芳彦 「飛び立つ」

準特選 村上勲 「光彩美しく」

準特選 岡田富子 「美しき冬」

準特選 増川保紀 「夕照に佇む」

準特選 畔田貞明 「川エビ・ゲット」

準特選 金子利市 「雨に咲く」

準特選 出井栄治 「夜明けのそば畑」

準特選 沼野井賢一 「妖精たちの祭典」

準特選 新井大路 「花盛り」

準特選 小川恒夫 「けなげにも…」

自由部門

準特選 君島利夫 「至福の時」

準特選 志賀実 「蓮葉の明かり」

準特選 岡田富子 「頬に降臨」

準特選 齋藤一郎 「土目覚める頃」

準特選 粕谷和幸 「孫と」

準特選 佐藤治男 「軌跡」

準特選 鵜月洋一 「希望」

準特選 金子利市 「トルネード」

準特選 川上幸生 「彼とは関係ないです」

準特選 鈴木十三男 「コラボレーション」

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