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第31回 栃木の自然と生活

2022年6月19日 審査員: 関東本部委員 鈴木是清氏

総評: 全体に中身の濃い作品が多かった様に思います。最後まで残るのは、独自性、自分の世界観の有る人真似ではない作品をセレクトしました。先人たちが残したものに、おんぶしていては先人たちを越えられない、自分のオリジナリティな表現を生み出していく事が、大切だと思います。

 また、フレーミング、色調に、こだわっても良いのですが、内容が見えて来ない表面的な表現が多々見られました。表現するものには、不完全な美もある事を知って欲しいと思います。不完全の組み合わせから、化学反応を起こし、新しいものが浮かび、見えて来る事も有ります。一つの被写体をあらゆる視点から、観察することが大切だと思います。形あるものは全てストーリーが有り、意味が有り、何らかの細胞と細胞が結合した生命体であるから、そこを探求すれば、あらゆるものが被写体として存在意味が見えてきます。形も大切ですが、意味合い、ストーリーが加わって、そこに自分の意図主張を加え、オリジナリティな作品になるのだと思います。

金賞 「成長」  本田みち子(横川支部)

様々な成長の表現方法の中で、成長の過程を足で表現している所が、斬新で独自性が有り視点が良い。顔を見せていないが、足にそれぞれ表情が有り、その年頃のやんちゃな顔が浮かんできます。負の部分を長所に見せている所に非凡さが見えます。

朝日新聞社賞 「3年の月日」  長谷川静江(烏山支部)

三回忌の夏に、幾年ものの喜び悲しみを、今、懐かしく、楽しく想い暮らしている。この笑顔が亡くなった連れ合いへの何よりのご報告……。夫婦の永年の愛のストーリーが、この三枚の展開から感じられます。

全日本写真連盟賞 「熱中症対策」  大塚 芳彦(サン支部)

シャッターチャンスが見事です。子孫を残して行く厳しさ、親子の絆が伝わって来ます。緑を背景に、浮かび上がったシーンを的確に捉えられたのも、普段からの観察力が物語っています。見事な生態作品だと思います。

銀賞 「ISS(国際宇宙船)の道しるべ」  畑 豊彦(佐野支部)

宇宙と古木の対比で、悠久の時の流れを感じます。壮大な宇宙の神秘とこれからの宇宙時代へのストーリーが膨らんで来る作品です。

銀賞 「ライフラインを守る」  堀江 京子(横川支部)

乱雑な画面から、現代社会の複雑さが見えて来る様です。ライフラインが社会を動かしていると言っても過言ではない。これによって、現代社会の我々も動かされ生きている。今を捉えている作品です。

銅賞 「至福の時」  櫻木 賢治(佐野支部)

住宅地の路地で、老夫人とネコのふれあいの様子。婦人のネコに対する細かい仕草、動作に行き届いた工夫が有り、この時だけではなく、毎日の婦人とネコのルーティーンになっているのでしょうか。そんな日常の流れを感じる作品です。

銅賞 「在宅介護」  大岡 博美(個人)

まさに今です!辛く、生々しい場面ですが、今、どこかで行われている、高齢化社会の縮図です。介護されるご本人、介護をする人、見守る人、それぞれの心情の交差が描かれています。ネコの存在がご本人との関係性が心に沁みてきます。

銅賞 「春のにおいがするにゃ」  高山 尚子(烏山支部)

この三枚、一つ一つの作品の組み合わせ方で、化学反応を起こし、ポエムなストーリーが出来ています。この組み方に、非凡さを感じ、独自の世界観を持っている様な気がします。

栃木県本部長賞 「想い」  小林トミ子(横川支部)

ベレー帽がお似合いの少女。柔和な笑顔。柔らかな光がプロフィールと髪、赤い衣服を浮き出させている。その優しい眼差しが、名画の様な雰囲気を漂わせています。

栃木県本部委員長賞 「自転車デビュー」  山本 長衛(佐野支部)

女の子の後姿から、緊張感、不安と自転車に乗れたという嬉しさの感情の交差が伝わって来ます。見守るパパ、ママさんの愛情も伝わり、微笑ましいシーンが表現されています。少女の未来を暗示するかのような、道の奥行も良いと思います。

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